オイル仕上げ/ウレタン仕上げ
オイル仕上げをして施してある北欧家具をお使いのお客様から、「輪ジミができてしまって残念です」とのお話を頂くことがあります。私たちが使う「仕上げ」という言葉は木部の「塗装」のことです。英語では「Finish」(フィニッシュ)と言われるものです。
特別なリクエストがない限り、当店で販売させて頂くヴィンテージ家具については、一般的な家具塗装に使われる以下の3つの仕上げの中から選ばさせて頂いております。
(1)オイル仕上 (2)ウレタン仕上 (3)ラッカー仕上
それぞれ短所、長所があります。北欧からやってくるヴィンテージ家具のほとんどはオイル仕上(一部ラッカー仕上)となっています。
それぞれのオリジナリティーを保つため、家具の修理、そして修復をした後に施す仕上はそれぞれの家具にもともと施してあった仕上を施すことにしています。ですが、「輪ジミ」(濡れたコップ等を木部に置きできる、丸い輪状のシミ)等を敬遠されるお客様からのお声を多く頂き、テーブル等水気のあるものをご使用頂く頻度が高い家具については、それなりの耐久性があるウレタン塗装を施しています。そうすることで、少しでも長くお買い上げ頂く家具を使って頂けると思っています。そして、ウレタン塗装を施した家具には商品ページに「ウレタン塗装済」と記載させて頂いております。お店で仕上についてお話をさせて頂くと「塗装については専門的でよくわからない」との声を多く頂きます。それぞれの塗装についての説明をさせて頂いて少しでもそのお声にお応えしたいと思います。
「ウレタン仕上」、「ラッカー仕上」はオイル仕上の質感に合うよう、「艶消」塗料で仕上げてあります。
一見ではどれがどの塗料を使用したかの判別は難しいと思います。
オイルは布に染み込ませ、木目になじむように施し、ウレタン/ラッカーはスプレーガンを使用し、専用設備内で塗布します。
艶あり、艶消しを混ぜて、艶の具合を調整します。
オイル仕上げは木部の表面に塗膜を作りません。塗布されたオイル成分は木部の導管に浸透し、導管内で止まり、外気が導管内に入り込むのを防ぐ効果があります。そうすることで、木に含まれる水分量(「含水率」)の変化を防ぎ、木の質感はそのままに木の反りや割れを防ぐ効果を期待できます。木部の表面に塗膜がありませんので、汚れや傷に対してはなんの効果も期待ができません。ですが、木の質感を優先させる場合はオイル仕上げが最適です。オイル仕上げはチーク材の質感を最も良く引き出してくれる優れた仕上方法です。ですが、上の通り、輪ジミに対して(準じる汚れに対しても)耐久性がとても低いというのが短所です。
ですので、水気のものを多く使うテーブル類について当店では、一見ではオイル仕上に見えるようにウレタン塗料の艶を調整し、きるだけ薄く塗布しチーク材の美しさをオイル仕上げの時と同じ程度出るように努力しています。見た目は殆ど変わりませんが、触った感じは違います。オイル仕上げのものは天然の木の質感ですが、ウレタン塗装を施した表面は天然の木の質感は感じられません。
お手入れにつきましては、オイル仕上げの効果を持続させたい場合は、揮発や拭き取りで薄くなるオイル成分を新しいオイル成分で補ってあげる必要があり、定期的なオイルの塗り込みが必要となってきます。ウレタン塗装の場合にはその必要はなく、水拭きだけのお手入れとなります。
お買い上げ頂いたものをできるだけ永く使って頂くことを念頭に置き、お客様のご使用環境を考えながら、商品毎に仕上げに変化を付けております。すでに、仕上げが終わった家具についての仕上げ変更は難しいですが、修理/修復前の商品でしたら、お好みの仕上げにご対応をさせて頂いております。