【商品説明】
【北欧家具】Hans J. Wegnerデザイン GE236

このソファに採用した張地を作るデンマークのテキスタイル製造会社「Kjellerup Vaeveri 」（ケアロップ・ヴァヴェリ）は不思議な会社です。

1955年に創業したこの会社は同族で2代に渡り続き、2代目が70代に差し掛かったところで2名のデンマーク人起業家に引き継いでもらっています。その2名の起業家はもうすでに50代後半。1人はもと投資専門家、そしてもう1人は経済学の博士号を持つ学者。この2人はずっと昔からの友人。いつか一緒に起業したいと昔から話していた仲。ただ、テキスタイル産業はこの日本でも同じなのですが、技術移転が比較的簡単な産業であり、また大量に生産をすることでスケールメリットを出していくビジネスモデルであることから、先進国ではかなりの斜陽産業なのです。デンマークでもその傾向は同じで、実際に現在デンマークではこの「Kjellerup Vaeveri 」（ケアロップ・ヴァヴェリ）だけが現地生産を続ける唯一の会社なのです。

こんな会社を手に入れた彼らですが、会うといつも笑顔で元気なのです。「最高だよ」って言ってます。

彼らが考えていた買い取りたい会社に対する条件は「デンマークにしかないもの」「持続可能なものであること」「コペンハーゲンから車で30分以内であること」。もちろん、この他にも色々と条件があったらしいのですが、もっとも重要なのはこの3つだったらしく、ただ、この会社はコペンハーゲンから車で2時間かかる場所にある、でもこの1つの条件以外全てをクリアした唯一の会社であったらしいのです。彼らは家族から週替わりで単身赴任になることの同意を得て この会社を手に入れました。

まったく畑違いの仕事となり最初は戸惑いもありましたが、今ではその仕事も板につき訪問すると、いつも織機の向こうから声を掛けてくれます。

今ではデンマークの有名ブランドへの生地供給や、大きなプロジェクトをこなすなど、需要が高まっています。

ものすごく質の高いウールを使った生地であり、素敵な色、そしてデザインもいいのですが、先進国での小ロット生産の生地ですから、とても価格の高い生地になってしまいます。最初の「不思議な会社です。」との意味は普通、椅子生地とは価格が一番の差別化となるの常なのですが、このブランドが他のテキスタイルブランドより秀でているところが価格ではないところ。そして、その部分は普通、広告戦略等で築いていくものなのですが、広告を全くやってないにもかかわらず、価格以外の部分で選ばれてところがそう思わせる理由です。

まだはっきりとした理由は分からないのですが、「誇り」なんじゃないかと思っています。彼らが会社を決める時に考えていた時の条件って結局とってもデンマークらしい条件なのです。小さな国でそれほど大きな産業もないデンマークで唯一残る生地製造会社を経営することって、そしてその会社を潰さないで、大きくして行くことって彼らのデンマーク人としての「誇り」が源泉にあるんじゃないかと思うんです。その「デンマーク人として誇りたい」っていうのが生地を通して他のデンマーク人に伝わり、なんとなく自然と需要が大きくなっていってるんじゃないと思うんです。

実は以前はこの会社、生き残りを掛けて、安いコットン糸を使い病院などに供給するためのシーツを大量に作っていました。現在でも続けてはいますが、その量を減らし、「誰で供給できるもの」じゃなくて、デンマークが誇るモダンデザインの家具に対して1955年の創業時から供給し続けた家具専用生地に特化しようと、その精度を磨いています。

この生地は「Kjellerup Vaeveri 」（ケアロップ・ヴァヴェリ）がデンマークに住む外部デザイナーに依頼しデンマークらしい生地をデザインすること主眼に置き作られたものです。それまでは伝統的な「デンマーク柄」ばかりだったのですが、時代に即した新作も少しずつ発表してきています。それらすべて、どことなくやっぱり「デンマークらしさ」が残る彼ららしい生地なのです。そして、彼らが作る生地のいつも持続可能な素材だけが使われる。ウール、そしてコットン。この2種類の繊維しか使わないのもデンマークらしい。

GE236は誰もが知るWegnerの名作ソファの1つ。座り心地も間違いないし、また見た目（前、そして後ろからも）申し分なし。お安い生地で仕上げ、結果できるだけリーズナブルにと収めようと思えばそれもできるのですが、そこはあえて「デンマークらしい生地で」でどうしても誂えたかったのです。少しお値段が上がってしまったのですが、それだけ価値のあるものに仕上がったとご理解頂けたら幸いです。

木部はいつもの通り時間を掛けて丁寧にお手入れをしてあります。座面下のヘッシャンクロスは新品へと交換してあります。クッション材、スプリング内包型ですので、スプリングは取り出し、品質を確認させて頂いた後に張替をさせて頂いています。全く問題のない状態です。張り替えた生地はウール素材ですが、チクチク感が比較的少ない「梳毛」が使われています。