【北欧家具】Hans J. Wegenrデザイン Getama社　アームチェア オーク材 「mina perhonen チョウチョ」

【商品説明】

歳を取ると、身体に色々な症状が現れます。先ず視力。年齢に差はありますが、「老眼」です。眼球にある水晶体の弾力が失われて、硬くなり、水晶体を動かす筋肉が水晶体を動かそうと頑張るのですが、硬く思うように動かなくなり、見たいものへの焦点が合わなくなり、特に水晶体を膨らませないと見れない近くはとっても見づらくなってしまいます。

この水晶体を動かす筋肉ですが、この筋肉自体も歳と共に減退していきます。筋肉は身体中に張り巡らされていて、動く時、動かない時、共に働いてくれています。この筋肉、60歳頃になると20歳頃に比べると、上半身で10から20%、そして下半身だと20%から40%程減ってしまうのです。下半身の筋肉力が減るので、歳を取るにつれて、立ち続けることがとても辛くなって来て、座る時間が増えます（だから、歳をとってからのお椅子選びはより慎重になるべきです）。トレーニングを繰り返し、筋肉量の維持にがんばったとしても自然減があるので、維持しようと頑張るためには若い頃に比べ20%から40%以上のトレーニングをしなければならなくなります。考えるだけでとっても疲れてしまいます。

椅子を選ぶ時、歳を取ると以前とはその選び方に違いが出るのは当たり前。例えば、以前なら脚力だけで立ち上がっていた椅子から立つ動き、今はアームに手を掛けて腕力と一緒にするなど、アームなしの椅子はちょっと辛くなって来ます。

調べても確かな情報が出て来ませんが、この椅子をウェグナーがデザインした頃、彼は50代後半から60代にかけてだと思います。1970年代後半。彼自身、筋力の衰えを日々感じ始めていた頃に違いありません。ウェグナーデザインの全盛期が少し過ぎたちょうどこの1970年代に入った頃、彼はGetama社と一緒に福祉施設用にと様々な椅子をデザインしています。Getama社の経済的な戦略はあったと思いますが、ウェグナー自身が自身の身体の衰えを感じ始め、また彼の両親の介護のことなども頭にあった頃で、時期的にはぴったりだったんじゃないかと思います。

この椅子もその頃、福祉施設用にとデザインされたかどうかは定かではありませんが、ある程度お歳を召した方々を想定して彼がデザインしたものであったのではないでしょうか。Getama社は機械加工を得意とする木工工房で、精度の高い丈夫な同じいいものを比較的大量に生産することに長けています。ウェグナーが得意とする座り心地を中心に無駄なものを完全に省きミニマムにデザインを仕上げながらも、椅子の前、後ろ、そして左右の360度の全てを綺麗に収めるという信念が大量に作られたであろうこのお椅子にも感じます。

ある程度広めの幅のある座面でゆったりと座れ、奥行きは膝後ろからお尻にかけての距離にぴったりと合い、座面の後ろにある背もたれは後ろ脚から延び、座る人の背中を優しく支えるため有機的にカーブして、若干後ろに角度がつけられています。丁度背骨のS字カーブのいい位置にこの背もたれがやってくるように設計されています。アームは人間工学のセオリー通りにの位置にあり、高過ぎず、そして低過ぎず背もたれとの一体感が絶妙です。

歳を取ることで諦めなくてはならない身体の衰え、その衰えに抗うのでなく、どうやって上手く付き合って行くのかを考えさせてくれるいい椅子です。

張地に選んだのはデザイナー皆川明さんが持つブランド「ミナペルホネン」からの椅子生地「チョウチョ」。身体が衰えたからと可愛いデザインを諦める必要はないのです。

クッション部分は新調してあるのでこれから先、何年もお使い頂けます。

古い塗料を剥がし、綺麗に研磨後に天然素材から作られるオイルにて仕上げをしました。ヴィンテージ品にある小傷はありますが、とても綺麗な状態です。ただ、向かって左側の上端に小さな材の割れがありましたので、接着にて修復してあります。耐久性には問題がなく、綺麗になっておりますが、目で捉えることが出来ます。詳細画像にてお確かめ下さいませ。