このモーエンセンの「J39」がデザインされたのは今から75年以上も前の1947年。モーエンセンが生涯貫き通したデザインコンセプト、「普遍性」。そのコンセプトの中心にいる椅子。天然素材のみで作られ、また凜とした佇まいのこの椅子は文化を超え、そして時代を超えて今も廃れることなく様々な場所で使われています。

「モダンデザインの祖」と呼ばれるコーア・クリント、ハンス・J・ウェグナー、フィン・ユル、アルネ・ヤコブセン、ヴァーナー・パントン、ナナ・ディッツェル、そしてJ39をデザインしたボーエ・モーエンセンなどの名だたるデザイナーが築き上げた力強いモダンデザインの基礎から成り立つデンマークモダンデザイン。このモダンデザインの基礎は現代で言えば例えばセシリア・マンツやスペース・コペンハーゲンに受け継がれより強く、そしてより国際的に進化しています。でも、基礎が進化し続ける現代であっても、このモーエンセンのJ39はモダンデザインの中で最も売れる木製椅子として、今なおその地位を保ち続けています。

もう70年以上も前にデザインさているにもかかわらず、その輝きは衰えず、今日に至ってもデンマークに止まらず世界中で使われるJ39。使われる場所はレストラン、教育機関、一般住宅、そして地域はマドリード、ロンドン、パリ、ストックホルム、大阪、ニューヨーク、そしてメルボルンなど世界の至るところにまで及び、J39が持つシンプルでカジュアルでありながらも、真っ直ぐな円錐形の脚、シンプルな背もたれ、そしてペーパーコードで編まれた座面から成る品格漂うフォルムは世界の人々を魅了し続けています。

J39の特徴と言えば、「手編みのペーパーコード座面」、そして「無垢材から削り出されたたっぷりの天然木」。モーエンセンが1947年にデザインしたこの椅子の揺るぎない人気を支えるのはこのシンプルなデザイン。このシンプルなデザインを支えるのははっきりとした椅子の輪郭、その輪郭の素材となる天然素材。モーエンセンがいつも目指したのははっきりとした「デザインの輪郭」。中世、北欧、そしてシェーカーにあったシンプルなデザイン、そしてそのデザインを支える素材のシンプルな使い方。これからの考え方が結実したのがJ39。

デザインのシンプルさによる製造のし易さ、そしてそのシンプルさを使いたいと思う人々がいつの時代にも減らなかったからJ39はその誕生の1947年から一度も廃盤にならず、ずっと作り続けられています。

デザインの着想はコーア・クリントが1936年にコペンハーゲンのベッセルハム教会のためにデザインした「チャーチチェア」。
その着想からモーエンセンは彼が持つ応用力でよりよい座り心地を目指しながらリデザインを繰り返し、アメリカのシェーカーチェアからの要素を織り混ぜながら、モーエンセンらしいシンプルではっきりとしたラインの独特な椅子へと進化させました。

この椅子でモーエンセンが目指したハイクオリティーで機能的なモダンデザインを出来るだけ多くの人に広めたいとの思いはJ39に今も宿り続けています。

世界のデザイン史から学ぶことをいつも忘れなかったモーエンセン。シェーカーチェアからの応用はモーエンセンのその姿勢からの賜物のです。歴史に残るデザインを紐解き、それぞれのデザイン要素を細分化し、人々が欲する要素を抜き出し、モーエンセンが独自に持つデザイン方程式により再構築し、手に入る素材を吟味し、製造工程にまで気を配り、工員の負担を減らしながら出来るだけ作りやすい部品で完成できる椅子、J39。高品質なものをできるだけ安価でそしてできるだけ多くの人に届けることを目指したモダンデザイン。その申し子のような椅子、それがJ39です。

”デンマークモダンデザインの歴史を手に入れる”

佇まいに惹かれることはもちろんのこと、J39が持つデンマークモダンデザインの中で果たした大きな役割に魅了される人は多いはず。この椅子がデンマークモダンデザインを世に羽ばたかせた最初の椅子の１つであったことは間違いありません。

1950年代のFDBのカタログ。左のページのモーエンセンの名前前に「M.A.A」とあります。これは1847年設立のデンマークアーキテクト協会のメンバーとの証で、「確かなものを作る人」との当時の称号。

J39を最初に世に広めたのはこの会社「FDB」。

1869年にデンマークで設立された生活協同組合。皆で協力しあい、皆で一緒に生活の向上を目指そうとする組合組織。モーエンセンはこのFDBのデザインディレクターを長年務め、J39はこのFDBから発売され、一般市民の生活向上に大きな役割を果たしたとされています。

J39がデンマークのモダンデザイン史上とても意味のある椅子の１つであると言われる所以、それはデンマークモダンデザインの核である「リーズナブルで高品質なものを出来るだけ多くの人に届ける」をデンマークで体現させた最初の椅子だったから。

ボーエ・モーエンセン（1914 - 1972）　デンマークオールボー出身

「モダンデザインの祖」と呼ばれるコーア・クリントから家具デザインを学んだボーエ・モーエンセン。コーア・クリントの家具作りの基本、それは使う人の心地の良さの追求。

例えばカップボードをデザインすると考えれば、まず「そのカップボードは必要なのか？」から始まり、「そのカップボードに何を入れたいのか」と考え、そして、そのカップボードで人の生活は心地よくなるのかと考え、設計を始めるのがコーア・クリント流。

設計すると決めれば定規を手に取り、使う人の寸法、設置場所の寸法、その他様々な寸法を測ることが第一段階。

こんなやり方をそのまま受け継ぐのがモーエンセン。実はその逆がモーエンセンの友人であったウェグナー（Hans J. Wegner）だと言われてます。ウェグナーはコーア・クリントのような一面はあったといいますが、まずは「こんな形がいい」から考え始め、デザインを進めたと言われています。

寸法重視のモーエンセンのデザインはウェグナーのデザインよりもより「ドライ」と映ることがあります。でも、心地よさを追求したモーエンセンの優しさがたっぷりと込められ、使い込む程にその気持ちが伝わって来るのです。

コーア クリント（1888-1954）

右：ボーエン モーエンセン
中：リズ アーマン（テクスタイルデザイナー）
左：ハンス J. ウェグナー

後世残る椅子となった所以

FDBから発売されたJ39、目指したのは手に届きやすい価格、そし品質の高さ。「品質」を確保すれば、「安く」は遠のく、そしてその逆も然りであることは、あの時代、そしてこの時代も同じです。

大木を切り倒し運び製材、乾燥して、木取り、そして加工。モダンデザインの時代となっても、この製造過程に変わりはありません。また品質を担保しながらのそれぞれの過程にはそれなりの費用がかかり、一般家庭（特に低所得層）に届けられる価格を目指した結果は、残念ながら目的を達成出来る程にはなりませんでした。

結果出来上がったJ39は品質に妥協のないお椅子だったのです。

それでも多くの一般市民が手に入れたJ39。価格でなく、品質を取った結果、今でも「People Chair」として後世残る椅子となりました。

ブラック塗装で引き締まるインテリア空間

ナチュラルな空間に実はとっても相性のいいブラック塗装。J39でもっぱら選ばれる仕上はオイルやソープなどのナチュラル仕上ですが、ブラック塗装とナチュラルな組み合わせとしてみるとナチュラルにシックな雰囲気が織り交ぜられ、他とは違うコーディネーションが楽しめます。

また、ブラック塗装とナチュラルペーコードの対比は見ていてはっとさせられるほど斬新な意外性を演出してくれます。

ペーパーコード

ペーパーコードは古くから椅子の座面として使用されている信頼のおける素材です。J39のペーパーコードはCH24（Yチェア）よりも少し太いペーパーコードを使用しています。そのせいか、Yチェアの座面と見比べてみると、少し編み目が荒い感じがします。椅子がより原始的に見え、「座る」という椅子本来の機能を最も重視したともて真面目な雰囲気が漂っています。

ペーパーコードの椅子は長期間座ってみると分かるのですが、想像しているよりずいぶんと楽に座ることができます。

１）蒸れない。
２）ペーパーコードは繊維質の集まりなので、延びたり縮じんだりして想像する以上に柔軟性があります。
３）中央が一難低くなっています。平な座面の椅子と比べ、よりお尻の形状と合い、自然な座り心地を感じることができます。

お届けしたばかりのペーパーコード

使用歴数十年のペーパーコード

ペーパーコードの座張りのお椅子を初めて購入される方、気になるのはその耐久性。つまり、張替までの年数。
使われ方により大きく異なりますが、一般家庭の食卓用として使用し耐久性ではクッション素材であるウレタンクッションよりも長持ちすると言われています。

ただ、使い始めは気にならない座面上の汚れが気になるのは布製の張地と同じです。

画像にある数十年使われたペーパーコード、汚れや少しの目の緩みはありますが、まだまだ使える状態です。

汚れを「家族の歴史」や「生活の歴史」等と捉えて頂ければ、10年以上は張替なしでお使い頂けます。

大きなそして濃い汚れが沢山ついてしまったり、長年の愛用で網の目が緩みすぎたり、コードが切れてしまったりで座り心地に大きな支障が出てくるようになったら張替時期です。ペーパーコードの張替はお気軽にご用命下さい。

塗装以外の仕様ラインナップ

ビーチ材ソープ仕上

ビーチ材本来の細かいゴマのような点々と、ソープ仕上の白さとマッチして「白肌美人」とでも形容できそうな美しさがあります。

オーク材 ソープ仕上

白木本来の美しさを最大限にお感じ頂ける美しい仕上げです。ソープ水を木に染み込ませ乾かしただけの仕様ですので、木表面の保護という意味では期待ができません。水もしみます、汚れもついてきます。ですが、オーク材の凛とした雰囲気を一番お感じ頂ける仕上げかと思います。

オーク材オイル仕上

森の王様と言われるオーク材を、さらに金色に輝かせる仕上げです。オイルをオーク材に塗布すると濡れ色になります。その濡れ色が金色に見え、またしっとりとした雰囲気が出てきます。木表面の保護についてはソープ仕上げと比べ若干ですが、その効力は増します。

オーク材 ライトオイル仕上

濡れ色に変化するオイル仕上を濡れ色にしないオイル仕上を実現してライトオイル仕上。オイル仕上の効力のまま、出来るだけ白木の状態そのままをご希望の場合にはこちらの仕上をご選択下さい。

ウォールナット材 ライトオイル仕上

アメリカ産のウォールナットを使用したスタンダードなオイル仕上。

商品詳細

Fredericia／フレデリシアについて

Fredericia（フレデリシア）は1911年の創業以来、デンマークのクラシック家具を製造してきましたが、1955年にアンドレアス・グラバーセンが買収。以降、グラバーセンファミリーがBørge Mogensen（ボーエ・モーエンセン）やHans J.Wegner（ハンス・J・ウェグナー）といった巨匠の作品から、新進デザイナーの作品まで幅広く取り扱いながら成長させています。

Børge Mogensen（ボーエ・モーエンセン）（1914-1972）

20歳で家具マイスターの資格を得て、家具職人としてのキャリアをスタート。Hans J.Wegner（ハンス・J・ウェグナー）と共に、デンマークの近代家具デザインにおける代表的なデザイナー。
モーエンセンの信念は、「シンプルかつ実用的な家具を、リーズナブルな価格で提供すること」。そのことからも、大衆視点のデザイン、不必要な部分には高級材を使わず機能美を追求した作品を数多く残しています。Fredericiaとは創設時から丈夫で長持ちすることで定評なチェアを中心に制作しています。

座高

J39ビーチ材ブラック塗装には座高46cm、そして日本のインテリア事情に合わせた少し低い44.5cmの用意がございます（座高44.5cmの場合には全高は76.5cmとなります）。共にメーカー国内在庫として短納期でお届けをしております。国内在庫仕様のラインナップは以下のバナーをクリックしてご確認下さい。

国内在庫仕様

J39のビーチ材やオーク材など、国内で人気の仕様はメーカー国内在庫仕様として短納期にて御対応しております。

国内在庫仕様でもご注文のタイミングによりましては在庫切れとなっている場合がございます。予めご了承下さい。短納期をご希望で国内在庫切れの場合にはご注文のキャンセルをして頂けます。国内在庫切れの場合のキャンセルご希望はご注文の際のオプション「在庫切れの場合」の箇所、「キャンセル」をご選択頂きお知らせ下さい。ご希望の仕様の再入荷をお待ち頂ける場合は（数ヶ月の場合あり）、「入荷まで待つ（数ヶ月の場合あり）」をご選択下さい。

国内在庫仕様のラインナップは以下のバナーをクリックしてご確認下さい。

納期

ご注文から10日程でお届けさせて頂きます。お届け日のご指定をご希望の場合、ご注文から10日以降のお日にちをご指定下さい。また、最短の発送をご希望の場合には着日指定の箇所は空欄にてご注文をお願い致します。納期確認後、最短のお届け日のご案内をさせて頂きます。

国内在庫切れの場合でもご注文の継続をご希望されましたら、商品が当店に到着しましたらお届けのご相談のためにご連絡をさせて頂きます。

お届け方法

送料は無料サービス（軒渡）でお届けをさせて頂きます（開梱／設置サービスのご提供はございません）。お届けの時間帯はご指定頂けますが、大きなお荷物となりますことから、ご希望の時間帯に到着しない場合がございます。予めご了承下さいませ。

返品・返金

お客様都合のご返品、ご返金は承っておりません。発送させて頂くお品は全て検品させて頂いております。不自然な傷やがたつきがあるお品ついては事前にメーカーと連絡を取りながらお客様にお届けする前に未然に防いでおります。運送途中の事故などで発生します不具合につきましては、交換にてご対応をさせて頂きますが、商品の調達にお時間を要する場合や代替え品のご用意が出来ない場合がございます。

代替え品のご用意が出来ない場合のみ、お客様のご意向（他の仕様に変更など）をお伺いしながら、ご返金の対応をさせて頂きます。

脚先裏について

脚先裏の状態はメーカーの品質管理外の箇所となります。そのため、脚先裏に限り、例えば足裏の仕上が不均衡であったり、塗装（仕上）ムラがあったり、塗装（仕上）がされていない場合がございます。予めご了承下さい。

保証

構造体（強度、構造体にかかわる破損）：7年
外装、表面の仕上（使用からの変化を除き、ペーパーコードや塗料など）：1年

上記保証は初期不良（お届けして1日以内に出る不良）を除きまして、基本的には商品の往復送料はお客様のご負担となります。ですが、不良箇所の詳細をお聞きかさせて頂き、初期不良に準ずる場合は私共の負担で全て保証させて頂きます。

以下の原因などにより不具合は保証対象外となりますのでお気を付け下さいませ。

保証を受ける上での注意事項

※修理内容等に関しましては全てフレデリシアジャパンの判断によるものとなります。場合によりましては有償修理または修理不能とさせて頂く場合もございますこと、予めご了承下さいませ。
※製品によっては国内に部品の在庫がなく該当部品の輸入に3〜5ヶ月ほどかかる場合がございます。

御注文前に必ずお読み下さい

よく頂くご質問

1　送料はかかりますか？

送料は無料でお届け致します。ただ、搬入／設置の便ではございません。梱包箱／梱包材の処理、そして搬入／設置はお客様の方で何卒よろしくお願い致します。

2　御注文後のキャンセルはできますか？

申し訳ございません。一度頂いた御注文のキャンセルは不可となります。ですが、通常国内在庫がある商品が国内になくお届けまでにかなりお時間を頂く場合はキャンセルをして頂けます。キャンセルご希望はご注文の際のオプションの「在庫切れの場合」のご選択にてお知らせ下さい。

3　注文後どの程度で到着しますか？

国内在庫仕様の場合、1週間?10日でお届けです。ですが、国内在庫を切らしている場合もございます。その場合はお届けまでに通常3?4ヵ月程かかる場合がございます。

4　ペーパーコードの張替はいくらですか？

送料、税別30,000円程です（2025年現在）。

5　一番人気のある種類はどれですか？

どの仕様も人気ですが、一番選ばれるのはビーチ材ソープ仕上げです。

6　偽物が沢山出回っていますが、本物が届きますか？

ご心配なるのはよくわかります。ご安心下さい、弊店は正規ルートからのフレデリシアが作る本物しか販売をしておりません。

7　4脚セットで買う方が多いですか？

いいえ。当店の場合、2脚セットの方一番多く、その次は1脚のみ。4脚セットでご購入される方はほとんどみえません。

8　ソープ仕上げってよくわからないのですが・・・

日本でほとんど使われない仕上げ方法ですので、無理はありません。継続的にお手入れをし続けないと無塗装の状態の椅子と変わらなくなります。無塗装の状態でも椅子は問題なくお使い頂けます。ですが、ソープ仕上げ本来のよさを御体感されたい場合はぜひ、継続的なお手入れをお願い致します。
お手入れ方法はこちらから →

9　海外製品なので、保証が心配です。

到着してすぐの不具合は、交換にてご対応をさせて頂きます。ご購入後、通常のご使用方法で椅子に不具合が生じてまいりましたら、不具合内容を精査させて頂いたのち、使用環境でなく商品の不具合であると判断された場合は無償で修理対応をさせて頂きます（メーカー保証期間7年。送料／配送はお客様ご負担）。7年以後についても修理対応をさせて頂きますが全て有償となります。

10 　実物を見たいのですが、実店舗に行けば実物に座ることができますか？

はい、お店に展示品がございますので、実際にお座り頂けます。

11　木目を選びたいのですができますか？

申し訳ございません。木目を選ぶことはできません。

12　届いた椅子の木目が気に入らないので返品／交換したいのですが？

申し訳ございません、ご希望の木目でない場合の返品／交換は不可となります。また、小さな節がある材も使われております。節があるなしでのご返品／交換は不可となりますので、お気を付け下さい。

13　床暖房なのですが、使用できますか？

ご使用頂けます。ですが、天然木を使用している関係で材に狂い生じて来ることがございます。ガタツキがでてきたりする場合も過去にございました。ご理解の上ご使用下さいませ。