GE530をまじまじと眺めると、ウェグナーの細部への拘りを感じ取れて最高です。それは美しさと木工家としての理の最高バランス。全体の印象は細部の印象の積算。細部の拘りがなければ、この素晴らしい全体の印象はありえないと思う。

前脚と横桟の収まり、そしてアームとの収まり。そして意味ある収まり具合と削り具合。前脚は円錐のまま横桟とアームに繋げた方が強度が取れるのは誰が考えても分かること。でもそれでは美しさがない。横桟の収まり部分の強度を保たせるため円錐をまま残し、その上から削り始め、アームには強度を確保できる絶妙な細さで収める。

また、横桟の後脚から前脚への細さの違いはより強度が必要な後脚を太くし、前脚に繋がるところまで強度を考えつつシームレスで細くしながら収める。ほんとに美しい。

座面下の前桟の形状も美しさと強度の両面から最高のプロポーションでデザインされてます。

スプリング内包型のクッションに採用したのはデンマークのテキスタイルブランドのケアロップ・ヴァヴェリのHVEN（ヴェン）。肌に触れる横糸がウール（縦糸はコットン）。3つの色が入ったメランジ色のウールは生地に立体感を出し、またインテリアによくある3色のメランジだから、張地の色でお悩みの方にとっては救世主的な張地なのです。

木部は完全に分解し、部品毎に修理／修復を施し、綺麗に研磨後に自然素材のワックスにて仕上げてあります。

座面下のウェービングベルトはフレームへ直接打ち付けるタイプのものではなく、オリジナルに即し、イギリスから取り寄せたゴム素材でオリジナルと同じ取付方法に拘っています。

実はこのGE530、クッションの収め方に2種類があります。どちらオリジナルがよく分かりません。というのも、このソファを買い付けた時に一緒にあったクッション、そのクッションにはクッションの置き方を指定するデンマーク語が見えないところに刺繍がしてあったのですが、色々な画像を調べると、「いや、そうとも限らないぞ」っていうことが分かってきました。

こちらがクッションにあった指定通りの置き方

こちらは画像検索でよく見つかる置き方

そして、座ってみると指定してあった置き方ではない方の置き方の方が若干心地いい。また下の座った時の肩甲骨の隠れ具合を見て頂くと分かると思いますが、「そうじゃない方」の方がより肩甲骨の上辺りまでカバーしてくれる感じなのです。ですから、クッションの置き方は指定してあった置き方を基本として頂き、座り心地によってお客様の方でお決め下さい。

指定された方

「じゃない」方

クッションの置き方を変えるとソファの全体のプロポーションが若干変わります。サイズは以下の通りです。
【指定された方】W2060 x D800 x H770 x SH440 mm
【「じゃない」方】W2060 x D800 x H810 x SH440 mm

指定された方

「じゃない」方